研究概要 |
RGPをコードする第二の遺伝子(rgpB)をクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、rgpB遺伝子はrgpA遺伝子のC末端側にあるヘマグルチニン領域の大部分を欠失していることがわかった。この領域はrgpA遺伝子に挿入されたものか、またはもともとrgpB遺伝子に存在していたヘマグルチニン領域が脱落したものと考えられる。このヘマグルチニン領域は染色体上にrgpA領域以外に3つ存在することが示唆されていることから転移因子様のDNAかもしれない。一方、その他の領域(N末端領域、プロテアーゼ領域、C最末端部)は両者でよく類似している。とくにプロテアーゼ領域のアミノ酸配列はほぼ完全に一致した。アミノ酸配列の類似性からrgpB遺伝子を4領域に区別できる。すなわち、A領域(237アミノ酸)はN末端領域とプロテアーゼ領域の最初の8アミノ酸を含む。B領域(352アミノ酸)は大部分のプロテアーゼ領域からなる。C領域(67アミノ酸)とD領域(80アミノ酸)はrgpB遺伝子にはないヘマグルチニン領域に隣接する領域を構成する。rgpAとrgpBの間でA,C,D領域のアミノ酸配列の相異はそれぞれ24%、46%、53%であるが、B領域は1.4%にすぎない。さらに、これらの領域ごとに同義塩基置換(1つのアミノ酸のコドンは複数あるものが多いため、塩基置換の前後でコードするアミノ酸が変わらないこと)の頻度を調べるとA,C,D領域では50〜60%で同義塩基置換がみられるが、B領域では1%以下であった。同義塩基置換はアミノ酸配列に影響を与えないので、この種の変異はDNA全領域にまんべんに同様な頻度で生じると考えられている。B領域における極端に低い同義塩基置換はrgpAとrgpBのこの領域の間で比較的最近、遺伝子置換がおこったことを物語っていると思われる。
|