研究概要 |
前年度までネコを用いて、視床歯髄駆動ニューロン(TPN)軸索の大脳皮質第一次体性感覚野(SI)口腔領への投射様式について、視床TPNに逆方向性応答を誘発するSIにおける刺激部位の分布様式の検索、およびPHA-Lトレース法を用いた複数視床TPN軸索終末のSI内分布様式の検索等を行って来た。その結果、視床TPNの軸索はSI内において、クラスター状を成して分布していることが明らかになった。 本年度はさらに、ラットの視床TPN活動を細胞内記録し、neurobiotinを細胞内注入し、視床TPN軸索のSI投射様式を検索した。実験にはnenbutal Na(50mg/kg,ip)で麻酔したSD系ラットを用いた。ラットの上下顎中切歯および臼歯に双極ステンレス線電極を装着し歯髄を電気刺激した。動物を脳定位固定装置に装着し、視床後内腹側(VPM)核から単一ニューロン活動を細胞内記録した。視床内において、多くのTPNはVPM核の内側部領域から検出された。視床TPNは約5-10msの応答潜時を有し、そのほとんどが口腔内あるいは顔面皮膚の触刺激に反応するマルチモダール型TPNであった。現在、視床TPNの細胞体および樹状突起の形態を明らかにするまでには至っていないが、さらに本研究を継続し単一視床TPN軸索のSI投射様式を解明したいと考えている。
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