研究課題/領域番号 |
07457449
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 卓 長崎大学, 歯学部, 教授 (30172406)
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研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 歯学部, 助手 (10244089)
柴田 義幸 長崎大学, 歯学部, 助手 (20253685)
泉 雅浩 長崎大学, 歯学部, 助手 (40212956)
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キーワード | Sjogren症候群 / MRI / 唾液腺 / 脂肪変性 |
研究概要 |
本年度はSjogren症候群(SS)患者の大唾液腺にどのような組織変化が起こっているかを明らかにすることを目的として、画像診断装置であるMRIおよびCTを用いて組織の同定を行った。 対象はSS患者33名(確実例20名、疑い例13名;Foxの分類による)で、各症例を高信号領域の量により5段階にグレード分類を行った。装置は1.5T超伝導MR装置(Visart;東芝社製)とCT装置(Somatom DR-H;シーメンス社製)で、MRIでは代表的な脂肪抑制シークエンスであるSort inversion Time Inversion Recovery (STIR)法とchemical shiftを利用したFat Saturation(FS)法を用い、CTでは耳下腺内部のCT値を計測することにより脂肪組織の同定を行った。 その結果、1)MRIのT1強調像において耳下腺内部に認められた高信号領域はSTIR法、FS法の両法において信号が抑制された。2)SS患者耳下腺のCT値は同年代の健常者に比べて、有意に低下していた。3)SS患者顎下腺もT1強調像において高信号を示し、CTでは著明なCT値の低下を認め、耳下腺と同様の変化が起こっていると考えられた。4)サクソンテストによる唾液分泌量の計測では、脂肪変性の程度に相関して低下が認められた。 以上の結果により、SSにより唾液腺の組織変化は脂肪変性あるいは脂肪組織への置換であり、不可逆性の変化であることが明らかとなった。このことは、SSが進行した症例では唾液腺組織のほとんどが脂肪組織に変化しており、唾液の分泌が得られないばかりでなく、どのような治療においても口腔乾燥症の良好な改善を図ることは困難であることを示唆したものである。つまり、進行性病変であると考えられている本疾患においては早期診断ならびに有効な早期治療が重要であると考えられた。
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