研究課題/領域番号 |
07457452
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
荒木 孝二 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70167998)
|
研究分担者 |
澤田 則宏 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70272606)
須田 英明 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (00114760)
|
キーワード | ヒト歯髄 / 器官培養 / 象牙芽細胞 / 分化機構 / サイトカイン / 分子生物学 / mRNA |
研究概要 |
ヒト歯髄由来の培養細胞を用いたバックグラウンド実験および歯髄の器官培養を用いて象牙芽細胞の分化の様子を検索し以下の知見を得た。 1.歯科用セメントから溶出する成分をヒト歯髄由来の培養線維芽細胞に間接的に与えたところ、各種セメントによって受ける影響がかなり異なることが分かった。特に毒性がほとんど見られなかったセメントは、臨床的には象牙質を介して軽度な刺激を歯髄に与え、直下に象牙芽細胞の分化を誘導する可能性があり、今後ヒト歯髄の器官培養に対する刺激として有用と思われた。 2.ヒト抜去歯髄内の各種サイトカインのmRNAの発現状況をRT-PCRを用いて調べ、急性炎症状態を呈していた歯髄からは、TGF-β、TNF-β、M-CSFのmRNAの発現が確認され、慢性炎症状態を呈していた歯髄からはTGF-β、M-CSFのmRNAの発現が確認された。また、コントロールとして用いた抜去埋伏歯の歯髄からはTGF-βのmRNAの発現が確認された。以上のことより、歯髄組織内においてTGF-βがその恒常性に強く影響を及ぼしている可能性が示唆された。 3.ヒト新鮮抜去歯30症例につき、マルチガスインキュベータ-による器官培養を行った結果、従来よりもその成功率は確実に上昇した。また、TGF-β1やBMP等のTGF-βスーパーファミリーや象牙質中の非コラーゲン性蛋白質を器官培養系に応用することにより、象牙芽細胞の分化に影響があるという事実が確認された。 今後、この分化過程をより詳細に検討するために、透過型電子顕微鏡を用いて細胞内小器官の分布や細胞間結合の観察を、また各種モノクローナル抗体による免疫組織染色等を用いて細胞外気質の形成や酵素活性の変化を調べていく予定である。
|