研究課題/領域番号 |
07457453
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 久 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (40143606)
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研究分担者 |
長澤 敏行 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90262203)
野口 和行 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90218298)
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キーワード | Th2サイトカイン / IL-4 / IL-13 / 歯周組織 / PGE2 |
研究概要 |
最近ヒト歯周組織においてTH2サイトカインであるinterleukin(IL)-4およびIL-13の存在が報告されてきている。今回、IL-4およびIL-13のIL-1α刺激ヒト歯根膜細胞によるPG産生への影響を検討した。 健全なヒト抜去歯の歯根膜から遊出させた細胞を10%牛胎児血清(FBS)を含むαMEMにて、5%CO_2、95% air、37℃下で培養した。5-15代継代した後、実験に供した。さいぼうを1.3x104cells/wellの密度で48穴プレートにてコンフルエントまで培養後、0.5%FBS含有αMEMに変えた。IL-4、IL-13あるいはNS-398(COX-2の特異的阻害剤)存在下で、IL-1α(2ng/ml)を添加し、培養を続けた。24時間後、培養上清を回収し、培養上清中のPGE_2量をELISA法にて測定した。さらに刺激後のPGの合成酵素であるcyclooxygenase活性を測定するために、15μMのアラキドン酸を添加し、インキュベーションした。培養上清を回収し、PGE_2量をELISA法にて測定した。Cyclooxygenase-1 (COX-1)とcyclooxygenase-2 (COX-2)のmRNA発現を調べるために、ノーザンブロット法にてCOX-1とCOX-2のmRNA発現を調べた。 IL-1α刺激は24時間後歯根膜細胞によるPGE_2産生をコントロールに比べて有意に増加させた。このPGE_2産生はCOX-2の特異的阻害剤であるNS-398によって抑制された。IL-4あるいはIL-13を処理した細胞では、IL-1α刺激によるPGE_2産生が濃度依存的に減少した。24時間IL-1α刺激後の歯根膜細胞のcyclooxygenase活性はコントロールに比べて有意に上昇したが、IL-4あるいはIL-13処理により減少がみられた。IL-1αで12時間刺激後、COX-2mRNAが検出されたが、コントロールではCOX-2のmRNAは検出されなかった。COX-1mRNAに関しては、コントロールおよびIL-1α刺激細胞とも同等に検出された。IL-4あるいはIL-13処理によりIL-1α刺激細胞のCOX-2mRNA発現が減少したが、COX-1mRNA発現は変化しなかった。 今回の研究により、歯根膜細胞はIL-1α刺激によりCOX-2を誘導してPGE_2を産生することが示された。TH2サイトカインであるIL-4およびIL-13は、このIL-1α刺激によるPGE_2産生をCOX-2の誘導の抑制を介してdown-regulationした。以上のことから、IL-4およびIL-13は歯周組織におけるPG産生調節に重要な役割を果たしている可能性が示された。
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