今年度は歯周炎におけるT細胞の応答が抗原特異的反応によるものかどうかを検索するために歯周炎病変部に浸潤するT細胞のクローナリティを調べた。成人性歯周炎患者10名より歯周外科処置時に炎症歯肉を採取し、同時に末梢血を分離した。全RNAを抽出した後、cDNAを合成し、20種類のVβファミリー特異的なセンスプライマーと1種類のCβ特異的アンチセンスプライマーを用いてPCRを行った。single strand conformation polymorphism(SSCP)解析のためにPCR産物は熱変性後非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行ってナイロン膜に転写した。ビオチン標識したCβインターナルプローブを用いて検出を行った。その結果、末梢血では全ての患者のほとんどのVβファミリーでスメア-のパターン即ちポリクローナルなT細胞集団であることが示されたが、一方炎症歯肉組織ではほとんどのVβファミリーで明らかなバンドとして検出された。SSCP解析においては1本のバンドはCDR3領域の塩基配列が均一なT細胞クローンをあらわす。即ち炎症歯肉組織においては抗原特異的なT細胞がオリゴクローナルに集積していることが明らかになった。
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