研究課題/領域番号 |
07457455
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹重 文雄 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60206969)
|
研究分担者 |
林 美加子 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40271027)
河合 啓次 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40204664)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
キーワード | コンポジットレジン / 疲労強度 / 疲労亀裂 / フィラー / 高靭化 |
研究概要 |
本年度はまず7種の市販コンポジットレジンを用いて水中環境での疲労亀裂進展試験を行った。水中で安定した亀裂進展がおこるΔKの範囲は、大気中と同様に、非常に狭いものであった。水中での亀裂進展は大気中に比べて疲労亀裂進展開始下限界ΔKthがどのコンポジットレジンでも増加する傾向にあり、水の存在により亀裂の進展開始下限界が上昇することが示された。破断面のSEM観察では急速破壊部に比べ亀裂安定進展部のほうにフィラーとマトリックスの界面にそって亀裂が進展した像がより多く観察され、フィラーが疲労亀裂の進展に大きく影響することが確認された。つぎにこれらの結果をもとに構成モノマーを統一した実験コンポジットレジンを試作し、引き続き疲労亀裂進展試験を行った。実験コンポジットレジンでは水中でのΔKthが大気中に比べて増加する傾向にあることは市販品と同様であったが、フィラーの種類、粒度分布、含有率によってコンポジットレジンの疲労亀裂進展が大きく異なった。数十ミクロンの無機フィラーを含む実験コンポジットレジンが最も大きいΔKthを示し、疲労亀裂破面においてはこれら大きいフィラーが露出する像が観察された。これに対し数ミクロンの小さいサイズの無機フィラーを有すコンポジットではΔKthがやや低下し、疲労亀裂破面でもフィラーの露出度が顕著ではなくなっていた。一方有機複合フィラーを含むものはΔKthが最も低く、フィラーが疲労亀裂に貫通されたものも多くみられた。フィーラー含有率はわずか5%の増加でもΔKthを増加させ、高靭化に対する重要なフィアクターであることがわかった。 結果を総合すると、大きいサイズの無機フィラーが疲労亀裂を彎曲させ疲労亀裂進展に抵抗するのに対し、小さいサイズの無機フィラーや有機複合フィラーは疲労亀裂の進展抵抗への寄与はより小さいものと考えられる。
|