研究概要 |
顎運動に調和した咬合面形態を理論的に解明するために,本年度は基準となる咬合面形態のシミュレーションモデルの作製という基礎的研究を行い,以下の成果を得た. 1)半調節性咬合器の運動を参考にして,生体の顎運動を単純化したモデルを84個作製し,それぞれのモデルにおいて,各種下顎滑走運動経路に沿った顎運動面を構築した. 2)この顎運動面に一致させ,咬頭嵌合位において全面で接触する上下顎の咬合小面を設定し,滑走運動時の咬合接触関係を解析した. 3)上下顎咬合小面が互いに干渉しないとき,顎運動面は咬合面形態決定のための基準,すなわち咬合参照面となりうるとして,その成立条件を検討した.その結果,84個の顎運動モデルのうち,29個で干渉がなく,咬合参照面が得られた. 4)咬合参照面が得られないモデルにおいて,滑走運動時の干渉量は最大約30μmであった. 本年度後半に,ワークステーション(Aophastation 2004/166)および3次元画像解析ソフトが納入され,高速画像処理が可能な研究システムの整備を行っているところである.次年度以降は,さらに多くのモデルについて検討するとともに,理論的な解析を行う.さらに,生体の顎運動および咬合面形態を比較検討して,咬合面形態決定のための基準を確立し,臨床応用を目指す予定である.
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