研究概要 |
動物代替の観点からin vitroにおける歯科材料の細胞毒性試験法を整備充実すべく,以下の2つの新しい試験法の確立を目指すものである. a.ストレス蛋白質合成試験 研究実施計画の初年度に確立した方法を基本とし,さらに改良を加えつつ,歯科材料の中で合金,コンポジットレジンそしてキャスタブルセラミックスを用いてストレス蛋白質(hsp70)の誘導現象によってその合成挙動を調べた.すなわち,HeLa細胞に濃度,作用時間を変えて試料を作用させ定性・定量分析を行うと共に,従来からの各種細胞毒性試験法によるデータを得た.その結果,合金およびコンポジットレジンだけでhsp70の誘導が認められた.合金およびレジンモノマーのみに減少が認められた細胞生存率との比較では試料濃度や作用時間において方法間での差が明確となり,従来とは異なる新しい視点からの試験法の必要性が示唆された. b.組織モデル試験 組織モデルに義歯床用の2種類の高分子材料および粉末状の歯科用接着性モノマー4種を用いて,試料を直接作用させた場合と溶媒を用いずに直接に組織モデルと接触させた場合とについて実験した.その結果,組織モデルによる方法は,直接に細胞と試料を接触させるため,培養液に対して難溶性もしくは不溶性の材料でも,溶媒を用いることなく,毒性の定量化が行える可能性が高いことが判明した.本年度には組織モデルの自作を試みたが,長期間の培養における種々の問題点のために未だ成功に至っていない.研究期間内には自作組織モデルの確立と,それを使用してのプロスタグランディン等の新たなエンドポイントについても検討する予定である.
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