研究概要 |
1.カーボネートメタクリレート(CMA)の合成:トリメチロールプロパンジメチルアセタールとメタクリル酸クロライドをトリエチルアミン共存下で反応させ、反応生成物に濃塩酸を加え、可溶媒分解したのち、エチルクロロホルメートと反応させ、白色の結晶物(2-オキソ-5-メタクリロイルオキシメチル-1,3-ジオキサン:CMA)を合成した。そして、元素分析(C_<11>H_<16>O_4)、IRスペクトル、NMRスペクトルで構造を確認した。 2.CMA/MMA共重合体の合成:CMAとMMAをベンゼンに溶解し、重合開始剤(AIBN)を1モル%加えたのち、MASOE/MMAの場合と同様に反応させ、CMA/MMA=44/56、55/45(mol%)の共重合体を合成した。 3.DSCに装着可能な可視光線照射装置の試作と評価:可視光線照射装置(2基)、ファイバーケーブル、電動シャッター、レーザーメーターからなる示差走査熱量計(DSC)に装着可能な可視光線照射装置を試作し、連続照射時の出力の安定性を調べたところ、10〜30mWの出力は10分間ほとんど一定であった。そして、3G(トリエチレングリコールジメタクリレート)/カンファーキノン・第3級アミン系の光重合レジンを試作し、重合熱の再現性を調べたところ、高い再現性を示し、光重合レジンの反応解析に十分利用できることが確認された。 4.CMAの重合:CMA/1G(エチレングリコールジメタクリレート)=30/70,40/60(wt%)に重合開始剤(BPO,AIBN,CQ/Amine)を1モル%加えコモノマーを調製し、DSC中で加熱重合(70℃x20min、70+120℃x20min)および可視光線重合(480nm:10mWx10min)を行い、その時の重合熱を測定した。その結果、70℃での重合熱は120℃での重合熱の約3/4程度(180〜190mJ/mg)であったが、光重合での重合熱は120℃の加熱重合よりやや高い重合熱を生じた。また、生成物のビニール基とスピロ環のIRスペクトルに変化が認められた。
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