研究概要 |
1)平成7年度では,学生解剖実習屍体より剖出した245顎関節円板を対象に,軟X線写真にて石灰化病変の有無と部分を調査し,石灰化部の病理免疫組織学的検索を行った。 2)軟X線写真にて11円板(4.5%)に石灰化病変が認められ,その4例に円板の穿孔が見られた穿孔のなかった7円板の石灰化部位は1円板を除き,後方肥厚部から中央狭窄部にかけての中層に位置していた。穿孔の見られた円板では,穿孔部に隣接した。これら円板の石灰化部をEDTA脱灰し,H-E,トルイジンプル-PH2.5,4.1,7.0染色,コラーゲンI.II型の免疫組織化学的染色(ABC法)を施し鏡検した。 3)穿孔の見られた円板では軟骨細胞が集簇しており,一部で軟骨様骨を形成し骨化が見られた。穿孔のなかった円板では,軟骨細胞はわずかに散在しているのみで,膠原線維が変性し硫酸基を有するGAGの集積の結果,異所性石灰化に至ったと考察した。 学生実習用屍体はアルコールないしホルマリン前処理がなされているため,各種GAGにおいて検出感度に影響を与えていることが判明した。そこで,新鮮標本を得るために,病理解剖屍体からの摘出を準備中である。平成7年度の研究から,関節円板のGAG解析は円板の変性の重要なマーカーとなる可能性を示唆させた。
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