研究課題/領域番号 |
07457484
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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研究分担者 |
野村 務 新潟大学, 歯学部・付属病院, 助手 (20228365)
新垣 晋 新潟大学, 歯学部, 助教授 (30134943)
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
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キーワード | 口腔癌 / リンパ節転移 / 脈管侵襲 / 基底膜 |
研究概要 |
口腔癌のリンパ節転移の機序を解明するため、当教室で確立したハムスター舌癌由来のリンパ節に高頻度で転移する扁平上皮癌O-1Nを用いて以下の研究を行った。 1。脈管侵襲:光顕的にはマッソントリクロム染色、ラミニン、タイプIVコラゲン、BSA-1の免疫染色による血管とリンパ管の判別法を確立した。また、O-1Nを舌に移植するとその周囲に増生したリンパ管に腫瘍胞巣が伸びだして侵入し、さらにそれが引きちぎられて単離した腫瘍細胞塊となり、そのままリンパ節までたどり着いて転移が成立することを明らかにした。一方、転移過程での腫瘍胞巣の基底膜の動態をラミニンの免疫染色で検索すると、転移の時期に一致して基底膜が消失していくことが判明した。電顕検索でも、基底線及び基底膜の状態、pericyte,smooth muscleの有無からリンパ管と血管の鑑別は可能で、O-1Nは増殖にともなって機械的に内皮細胞を変性崩壊させてリンパ管、血管のいずれにも侵入しており、リンパ行性、血行性転移の機序を探る上できわめて貴重な所見が得られた。 2。基底膜分子の生成と分解:O-1Nより分離した転移性細胞、非転移性細胞を用いて検索した。ラミニンの蛍光抗体染色では転移性、非転移性いずれも継代後を日追って細胞内から細胞外への類似したラミニン分子の局在の変化が見られたが、ラミニンmRNAの発現は転移性細胞のみに顕著に見られた。一方、ザイモグラフィーによる検索では、MMP3とMMP9が転移性細胞に顕著に検出された。よって、転移性細胞は基底膜を作りながら、それを壊して脈管侵襲する可能性が示唆された。 3。3次元培養:コラゲンゲルによる3次元培養で、O-1Nは休憩の腫瘍胞巣を形成、経時的に増大し、14日間維持できた。免疫染色にて、ラミニン、タイプIVコラゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの陽性所見が見られ、基底膜分子を形成していることがわかった。
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