研究概要 |
リズミカル顎運動に関わる三叉神経運動系活動の中枢機構について顎付培養脳幹,培養脳幹をそれぞれ用いて検討を行い以下の結果を得た. 1,下丘からY字交点レベルまでの脳幹を保存した顎付脳幹標本を作成し,興奮性アミノ酸であるNMAとGABAレセプターの拮抗薬(Bicuculline)を同時に投与したところ下顎のリズミカルな上下運動が誘発された. 2,NMA-BIC投与条件下で両側の開閉口筋の筋活動を同時に記録すると,顎二腹筋,咬筋共に両側が同期したリズミカルな活動が観察された. 3,同期の顎二腹筋と咬筋の筋活動を同時に記録するとNMA40μM,BIC10μM条件下では両筋の活動は同期しなかったが,NMAの濃度を40μMから20μMに減少させると両筋の活動は同期下した.このことより,開閉口筋のrhythm generatorはそれぞれ独立して存在していることが示唆された. 4,NMAとグリシンレセプター拮抗薬(Strychnine)の同時投与では顎二腹筋と咬筋の活動の間に同期生は認められなかった.ところがBICを追加投与すると両筋の活動は同期化した.このことより二つのリズム形成機構の繋がりにGABAレセプターが何等かの形で関与していることが推察された.
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