研究課題/領域番号 |
07457491
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (70031995)
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研究分担者 |
植田 栄作 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10203431)
山本 哲也 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00200824)
米田 和典 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90182849)
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キーワード | 扁平上皮癌 / アポトーシス / p53 / TGF-β / 5-FU / 放射線 / p21 / サイクリン依存キナーゼ |
研究概要 |
扁平上皮癌の治療の目的の下、株化扁平上皮癌細胞における分化誘導について検討し、現在のところ、以下の結果を得ている。 1.扁平上皮癌細胞は、分化誘導剤であるベスナリノンによって、さらには5-FU、γ線、TGF-βによって分化が誘導された。一方、アポトーシスは、ベスナリノンによっては誘導されず、ペプロマイシンおよびTGF-βによっては弱く、5-FUおよびγ線によって強く誘導された。ベスナリノンによる分化誘導はp21-anti-senseによって阻害された。 2.ベスナリノンおよびTGF-βでは、G1期に、5-FUではS期に、γ線ではG2/M期に細胞は集積したが、サイクリンD、サイクリンE、Cdk2およびCdk4の発現は、各処理によってもほとんど影響を受けなかった。 3.p21プロモーター活性は、TGF-βで増強し、他では抑制され、p21蛋白発現はTGF-βおよびベスナリノン(p21-mRNAを安定化する作用有り)で増強され、他では抑制された。 4.Baxはいずれの処理によっても、ほとんどの発現量は増強せず、一方、Bcl-2は無処理細胞では、ほとんど発現されておらず、各処理によっても発現は増強されなかった。 5.誘導されたアポトーシスはいずれにおいても、p53に非依存性で、かつ、p21に非依存性であった。 6.細胞傷害性リンパ球と、γ線あるいは5-FU、シスプラチンとを組み合わせると、アポトーシスはより強く誘導された。但し、リンパ球の関わるアポトーシスにFasは強くは関与していなかった。 7.アポトーシスの程度と、caspase-3の活性化、ミトコンドリアの膜電位、さらにはPARPの活性化は相関していた。 これらの結果より、扁平上皮癌の分化は、p53-p21に非依存性に誘導されること、さらには分化に伴って、抗癌剤あるいは放射線との併用によって、より強く誘導されることが示された。現在、p21の役割をより明らかにするために、p21遺伝子の輸注実験を行っている所である。
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