研究課題/領域番号 |
07457492
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安部 喜八郎 九州大学, 歯学部, 助教授 (20117055)
|
研究分担者 |
窪田 泰孝 九州大学, 歯学部, 助手 (60205151)
中村 誠司 九州大学, 歯学部, 講師 (60189040)
|
キーワード | HIV / HTLV-1 / 自己免疫疾患 / シェ-グレン症候群 / 唾液腺 / サイトカイン / T細胞 |
研究概要 |
HIVおよびHTLV-1陽性患者において唾液分泌量を検索したところ高率に唾液分泌量が減少しており、唾液腺障害を起こしていることがわかった。これまでは、主にHTLV-1陽性患者において唾液腺造影や口唇腺の生検を施行してきたが、これらの患者では自己免疫疾患であるシェ-グレン症候群患者に類似の異常所見がみられた。つまり、唾液腺造影では特徴的な点状陰影を示し、組織学的には口唇腺の導管周囲にリンパ球の浸潤を認め、この浸潤リンパ球は主にCD4陽性T細胞であった。さらに、唾液腺障害の発症にHTLV-1感染がどのように関与しているかを調べるために、唾液腺内のHTLV-1プロバイラルDNAの局在を検討したところ、唾液腺組織ではなく浸潤リンパ球にHTLV-1プロバイラルDNAを認めた。このことより、HTLV-1に感染したT細胞が唾液腺障害の発症に関与していることが示唆された。唾液腺内でのT細胞由来のサイトカインの産生は、IL-2やIFN-γといったTH1タイプのCD4陽性T細胞によって産生されるサイトカインが主体であり、IL-4やIL-5といったTH2タイプのCD4陽性T細胞によって産生されるサイトカインはほとんど認められなかった。 以上の結果は平成7年度の日本口腔外科学会総会、シェーングレン症候群研究会、日本免疫学会総会、日本唾液腺学会で報告した。今後は、現在進行中ではあるが、サイトカインで刺激した唾液腺細胞における蛋白質のリン酸化やカルシウム濃度の変化について検討を進めていきたい。これらの検討については、唾液腺細胞の単離方法が困難であり、研究の遂行が遅れていることが反省点である。
|