研究概要 |
(1)Autopsyによって得られたヒトの関節突起を用いて、加齢に伴う下顎頭の形態変化を解析した。その結果、加齢により、下顎頭表面は変性し、40〜50歳代では骨皮質の不整がみられ、60歳台では平坦化がみられた。このような変性は下顎頭の細胞成分の減少と関連しているように思われた。 (2)この変性状態をさらに詳細に調べるために関節突起の細胞外マトリックスの発現と分布を免疫組織学的に解析した。その結果タイプI,II,IV,Vコラーゲン、フィプロネクチン、フィブロネクチンレセプター、ラミニンは正常な部分よりも変性の残る部分でより高度に発現していたが、60歳以上と高齢になると、その傾向が認められなかった。またタイプIVコラーゲンとラミニンが発現している変性領域には同時にトランスフォミング増殖因子β(TGF-β)が発現していた。このTGF-βは血管内皮の増生を即し、骨形成誘導に関与していると思われた。一般に加齢に伴って細胞外マトリックスの発現は低下していた。 (3)上記細胞マトリックスの発現とBMP、MMP合成の関係を現在検討中であり、骨折治癒部及び骨折部をプレート固定する際に用いられるスクリュー周囲の骨変化を同様の手法で免疫組織学的に検討中である。以上のことから関節突起部の形態変化と細胞外マトリックス発現の関連性が理解された。マトリックス合成を左右するBMP、MMPを解析するのが次のステップである。
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