研究概要 |
炎症発痛時に発現する炎症発痛関連遺伝子を明らかにすることを目的に5%ホルマリンをラット顎顔面部に注射した炎症発痛動物を用いてDifferenntial Display法にて解析を試みた。 炎症発痛動物と対象動物(無処置)よりそれぞれの三叉神経節を摘出し総RNAを抽出しcDNA化をおこなった。そのcDNAを用いてRT-PCRを行い、そのPCR産物を電気泳動にて展開した。 得られた様々なサイズのバンドの内、疼痛動物の三叉神経節と対象動物の三叉神経節の間で発現パターンを比較した。 その結果、現在まで数百本の発現に差のあったバンドを回収しセカンドPCRを行い、得られた産物をVectorにLigationし大腸菌DH5αにTransformationした後、培地でコロニーPCR、mini-prepの後Sequenceをおこなった。さらにRI標識したcRNAプローブを作製しIn situ hybridizationも行った。その結果、現在のところは疼痛動物と対象動物の間で発現の差があった特定の遺伝子は得ていない。 さらに同モデルを用いて炎症時に末梢組織で放出されるといわれているサイトカインの知覚神経系での関与にを証明するためサイトカインの細胞内情報伝達に関しても検索をおこなった。 その結果、細胞内にサイトカインの細胞内情報伝達物質であるJAK familyの存在やその受容体共通鎖の存在が明らかとなり、サイトカインの転写活性因子であるSTAT familyの存在も明らかになり、このSTAT familyのうちSTAT2,STAT3,STAT4などが核移行していることも明らかになった。現在移行時間(炎症発痛後)を検索中である。
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