研究分担者 |
楠本 雅子 東北大学, 歯学部, 助手 (80186395)
浅沼 慎 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80202589)
千葉 潤子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50197620)
小澤 雄樹 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90125518)
田浦 勝彦 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90005083)
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研究概要 |
平成7年度は,毛髪からDNAを抽出し,それをHLA(ヒト白血球型抗原)のDQα遺伝子を用いたDNAフィンガープリント法により群別する方法を確立した. 1.毛髪からのDNA抽出 被験者から毛根を含む3本の毛髪(長さ10〜15cm)を採取し,はさみで裁断した.試料から,DNA抽出キットを用い,DNAを抽出し,DNAを回収した.本研究に適したDNA抽出キットは,有機溶剤を用いない陽イオン界面活性剤を用いた方法であった,界面活性剤は細胞を破壊し,同時に核酸と電気的に中性なコンプレックスを形成し,高速冷却遠心機と振盪機のみで,容易にDNAを抽出できた.また陽イオン界面活性剤は菌体とウイルス粒子を破壊する作用があるので,病原菌等,感染の恐れのあるサンプルでも容易に取扱ができた. 2.HLAのDQαDNAのPCR増幅とタイピング 抽出したDNAを耐熱性のTaqDNAポリメラーゼを用いるポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)法によって増幅した.増幅反応は,PRC用セットを用いて,遺伝子増幅装置内で32サイクル行った.その後,HLA DQα DNA Probeを用いて21のHLA.DQα genotypeの何れかに群別した. 毛髪からDNAを抽出する方法は,DNAを抽出する際,多量のメラミン色素が混在すると,PCR法によるDNAの増幅が阻害されるとの報告があり,法医学での血液鑑定や親子鑑定等診断を要する場合には注意が必要であるとの指摘がある.しかし,本研究の目的である疫学調査では,個々の症例を診断するのではなく,多数の被検者を集団的に評価するため,毛髪からのDNAを採用してもよいと考えた. また,実験に用いたDNA診断は,齲蝕と関係ある遺伝子配列が未定であるため,本研究では法医学で血液鑑定や親子鑑定に用いられているHLA DQα genotypeによるフィンガープリント法を採用した.
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