| 研究概要 |
矯正力の3次元成分を測定可能な矯正シミュレータの開発を行って次の結果を得た.
1.歯牙移動装置と多軸力計および人工歯を組み合わせて歯牙モデルを試作した.このモデルでは回転ステージの回転中心が歯牙の抵抗中心と一致する設計であることから,抵抗中心回りの歯牙の回転移動,また回転ステージの下におかれたXステージにより歯の口蓋側方向への平行移動を再現することができるようになっている.試作したモデルでは,期待した運動が再現されることを確認できた.
2.歯牙に作用する荷重を測定するために起歪部を薄肉円筒構造で試作した.ひずみゲージを4枚接着することにより,4つのひずみデータから口蓋側方向への引張力,および抵抗中心回りのモーメントが計測できるようにした.較正実験を行ったところ,測定結果の直線性は充分であり,力とモーメントの2成分が同時測定可能であるを確認できた.
3.歯牙モデルの上部構造にはレジン人工歯を用い,歯牙モデルに臨床的な形態を付与することができた.
4.4前歯分の計装歯牙モデルと臼歯部用の歯牙モデルより歯列を構成し,歯列モデルを試作した.そして人工歯部にブラケットを接着し,矯正装置を装着して矯正力の分布について測定をおこなったところ,物理的に妥当な測定結果が得られた.またブラケットとワイヤーの間隙の効果の影響が明瞭に観察されるなどの興味深い知見も得られた.このように開発した装置は,矯正力のシミュレータとして有効であることが確かめられた.
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