研究課題/領域番号 |
07457511
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野中 和明 九州大学, 歯学部, 助教授 (90128067)
|
研究分担者 |
柳田 憲一 九州大学, 歯学部, 助手 (40260723)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
キーワード | マウス胎児 / 口唇口蓋裂 / 病因 / 遺伝子要因 / 子宮内環境 / 受精卵移植法 / 頭部X線規格写真撮影法 / 生物統計学的分析 / Biostatistic Analysis |
研究概要 |
口唇口蓋裂自然発症モデルマウスであるCL/Fr系統の胎児マウスの子宮内全身成長、着床前生存率や着床後生存率、口唇口蓋裂自然発症の状態などに対する母親マウスの系統の影響を受精卵移植手技を用いて調べた。即ち、CL/Fr系統のマウス受精卵を、同系統のCL/Frレシピエント雌マウスと、口唇口蓋裂をけっして自然発症しない系統であるC57BLレシピエント雌マウスにそれぞれ移植した。これら2系統の母親マウスの子宮内で移植受精卵より成長発育したCL/Fr胎児マウスを、胎生18日齢に帝王切開にて取り出し、体重測定、胎児マウスの口唇口蓋裂自然発症の有無、母親マウスの子宮内膜での着床部位や吸収部位などを光学顕微鏡下で検索し、さらに口唇口蓋裂自然発症モデルマウスであるCL/Fr系統の胎児マウスの、子宮内における顎顔面頭蓋の形態形成に対する、母親マウスの系統の影響も頭部X線規格写真撮影法を応用して調べ、以下のような結果を得た。 1.CL/Fr母親マウスの妊娠率は、C57BL母親マウスのそれより有意に低かった。 2.CL/Fr母親マウスにおける移植受精卵の生存率は、C57BL母親マウスにおけるそれより有意に低かった。 3.CL/Fr母親マウスにおける移植受精卵の吸収率は、C57BL母親マウスにおけるそれより有意に高かった。 4.CL/Fr母親マウスで着床発育してきたCL/Fr胎児マウスの口唇口蓋裂自然発症頻度は、C57BL母親マウスで着床発育してきたCL/Fr胎児マウスのそれより有意に高かった。 5.CL/Fr母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr胎児マウスの体重のは、C57BL母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr胎児マウスのそれよりも、有意に小さかった。 6.同じCL/Fr受精卵より発育しながらも、C57BL母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr正常胎児マウスの顎顔面頭蓋の大きさはCL/Fr母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr正常胎児マウスのそれよりも、有意に大きかった。 7.母親マウスの系統は、子宮内における胎児マウスの顎顔面頭蓋の形態形成に、有意な影響を及ぼしていた。 8.口唇口蓋裂の重症度は、CL/Fr母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr胎児マウスの方がC57BL母親マウスの子宮内で発育したCL/Fr胎児マウスのそれより、有意に重篤であった。 以上の結果より、CL/Frマウス受精卵の着床前の生存および着床後の子宮内での成長発育にとって、CL/Fr母親マウスの子宮内環境はC57BL母親マウスの子宮内環境より劣っていることが明らかとなった。このように母親マウスの系統は、子宮内におけるマウス受精卵の着床前の生存や着床後の全身成長発育およびに口唇口蓋裂自然発症に有意な影響を及ぼすことが示唆された。また、2系統の母親マウスは、それぞれの子宮内環境を通して、CL/Frマウス受精卵より発育した胎児マウスの子宮内での顎顔面頭譜の形態形成に対し、異なった有意な影響を及ぼしていることも示唆された。
|