研究課題/領域番号 |
07457534
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
五十嵐 一衞 千葉大学, 薬学部, 教授 (60089597)
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研究分担者 |
柏木 敬子 千葉大学, 薬学部, 助手 (80169424)
柿沼 喜己 千葉大学, 薬学部, 助手 (80134394)
小林 弘 千葉大学, 薬学部, 助教授 (00090473)
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キーワード | ポリアミン / スペルミジン / スペルミン / 蛋白質合成 / 輸送 / ATPase / プロテインキナーゼ |
研究概要 |
1.大腸菌のアセチルスペルミジントランスフェラーゼ(SAT)欠損株をスペルミジンを含む培地で培養するとスペルミジンが通常の約3倍細胞内に蓄積した。このポリアミンの過剰蓄積は対数期の細胞増殖にあまり影響を与えなかったが、静止期の細胞死を引き起こした。細胞死は静止期のcell viabilityに関与しているribosomal modulation factor(RMF)の合成量の低下と相関していた。RMFは静止期に入ると合成される蛋白質で70Sリボソームのダイマー形成(100S)を引き起こし、リボソームを休眠状態にすると考えられている。過剰ポリアミンはRMF合成を翻訳レベルで阻害した。 2.大腸菌のスペルミジン優先輸送系は基質結合蛋白質(PotD)、ATP結合部位を有する膜表在性蛋白質(PotA)、及び2種の膜チャンネルを形成する蛋白質(PotB及びPotC)より成り立っている。このうちのPotAとPotD蛋白質を均一に精製し、酵素学的性質を検討すると同時に、site-directed mutagenesisによりアミノ酸置換蛋白質を作製しその性質を検討した。その結果、PotA蛋白質はN-末端側にATPaseの活性中心が、C-末端側に膜蛋白質と相互作用する部位が存在することが明らかとなった。また、PotD蛋白質のスペルミジンと相互作用するアミノ酸として4分子の酸性アミノ酸(E36、D168、E171、D257)、3分子のトリプトファン(W34、W229、W255)、及び3分子のチロシン(Y37、Y85、Y293)を同定した。 3.酵母でポリアミン輸送低下株を分離し、この株に酵母のDNA断片を導入することにより、ポリアミン輸送を回復する遺伝子を探索した。その結果、クロモソームXIに位置するセリン/スレオニンプロテインキナーゼをコードする遺伝子を導入するとポリアミン輸送が回復することを見出した。
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