1.塩基部と糖部をO-cyclo結合により架橋させ、グリコシド結合まわりのコンホメーションをlow antiに固定した炭素環uridine、cytidine、adenosineおよびguanosine誘導体(1〜4)のラセミ体の合成を達成した。 2.光学活性なシクロペンタン環ユニット(5)を(-)-αピネンを不斉源とした不斉ハイドロボレーションを経由して合成し、これを出発原料として、上述のラセミ体での合成経路に従い、光学活性な1〜4の合成を行った。(-)-1は合成を完了し、(-)-2、(-)-3の合成は1ないし3ステップを残すのみでほぼ目処がついている。(-)-4に関しては合成中間体の溶解性が悪く、大量合成が可能な合成経路を現在検討中である。 3.(-)-1はアミダイト体へと誘導し、自動DNA合成装置により下記に示した(-)-1(cU)を含むオリゴヌクレオチド(6〜9)を合成し、3'-exonucleaseであるvenome phosphodiesterase消化に対する耐性、および相補鎖である(dA)_<12>および(rA)_<12>とのhydridization能の比較検討を行った。 5'-TTTTTTTTTTTT-3' (6) 5'TTTTTcUcUTTTTT-3' (8) 5'-TTTTTTcUTTTTT03' (7) 5'-cUcUcUcUcUcUcUcUcUcUcUcU-3'(9) cU=(-)-1 (1)venome phosphodiesterase分解に対する耐性 venome phosphodiesteraseにより(6)が完全に分解される条件下、(9)は全く分解を受けず、(7)および(8)は3'-末端側からcU残基までの配列は速やかに分解されたが、cU残基で分解速度は激減した。 (2)相補配列とのhybridization能 (6)〜(9)の(dA)_<12>および(rA)_<12>に対するhybridization能をUVによるTm測定で評価した。その結果、(6)と比較して(7)および(8)は塩濃度に依存せずcU残基当たり10℃以上のTm値の低下が起こった。一方、(9)は低塩濃度では(dA)_<12>および(rA)_<12>とhybridizeできなかったが、高塩濃度では(rA)_<12>とのみ安定に二重鎖を形成し、そのTm値は(6)を3℃程度上回った。
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