研究課題/領域番号 |
07457562
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岡田 正彦 新潟大学, 歯学部, 教授 (30018915)
|
研究分担者 |
稲野 浩一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262445)
三井田 孝 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (80260545)
松戸 隆之 新潟大学, 医学部, 助教授 (80209577)
|
キーワード | 予防医学 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 細胞接着分子 / 細胞内情報伝達 / 酸化LDL / サイトカイン |
研究概要 |
動脈硬化症病巣の形成には、血管内皮における細胞接着分子の発現やマクロファージによる変性低比重リポ蛋白(LDL)の貧食などが初期変化として重要であることが知られている。しかし、初期病変発生の直接的な引き金となる要因が何であるのかという肝心な点がまだまったく分っていない。本研究では、ヒト大動脈内皮細胞を用い、動脈硬化症発生メカニズムにおける各種接着分子の発現機序および役割を分子生物学的、システム工学的に解明することである。平成7年度の実験では、接着分子の発現を促進する因子について以下の新しい知見を得た。まず、サイトカインに関して、IL-1とTNFαがELAM-1を著明に発現させることを確認した。ただし、前者は作用開始後1時間目から有意な増加を示し48時間後には消失、後者は30分後から急激に増加し、48時間以上作用が持続した。ICAM-1の場合は、刺激をしていない細胞においても発現しており、IL-1とTNFαによって僅かに増加する傾向が認められたが、両者の効果に有意な差はなかった。VCAM-1はTNFαによってのみ有意に発現した。なお、INFγは3種類の接着分子の発現に影響を与えなかった。次に、酸化LDL、糖化LDL、低酸素培地、Ig-G結合型LDL(本研究で新たに発見)を培養内皮細胞に作用させたところ、いずれもELAM-1を有意に発現させることが分った。内皮細胞上に発現する各接着分子の共通のリガンドがマクロファージ上のみに依存し、かつTNFαが同細胞から分泌される事実を考えると、次のような機序が考察される。まず、変性LDLが内皮下に貯まり、かつ低ずり応力が局所的に作用することにより、ELAM-1が発現する。これに接触したマクロファージは活性化されTNFαを分泌し、これが瞬時にICAM-1の形態変化を起こさせる(外国の報告より引用)。引き続いて、同じくTNFαの作用によりVCAM-1が発現し、3者のコンビネーションが選択的に作用しマクロファージだけを局所に引き寄せる。
|