研究課題
一般研究(B)
患者の自己決定を支える看護について得られたデータを研究グループメンバーで討議しながら内容分析を行った結果、以下のことが明らかになった。1.患者の自己決定のテーマ看護者が支えている患者の自己決定のテーマとして、(1)病気を持ちながら日常生活を調整する(2)生き方を選択する(3)病気を持った自分を受け入れる(4)治療を選択する(5)家族との関係の調整が抽出された。2.自己決定を支える看護者の技患者の自己決定を支える看護を実践する際の技として、以下のことが明らかになった。(1)看護者の姿勢看護者の姿勢として〈患者の力を信じる〉〈患者らしさの重視〉〈患者を取りまく人々の重視〉〈看護者の自己コントロール〉が抽出された。(2)看護の方向性看護者は、自己決定できるように様々な状況を整える〈意志決定の下準備〉を行い、患者の迷いにつきあったり、安定させるなど〈患者の居場所の確保〉を行っていた。患者自身に主体性を持たせることにより、〈患者の自主性の尊重〉に注 意し、達成感を持たせることにより〈患者の意欲を引き出す〉ようにしていた。さらに、多くの選択肢を持てるように情 報を提供したり、患者の望みを明確化することにより、〈患者の自己決定の方向づけ〉を行い、慎重に患者のペースで最善の決定ができるように、〈患者の自己決定の方向付け〉を行っていた。患者の自己決定を支える看護に必要な能力看護者は、患者の自己決定を支える看護を実践していく上で、(1)患者を知るための能力(共感力・許容力・思いやり)(2)患者を理解するための能力(観察力・洞察力・判断力・分析能力・見通す力)(3)患者に関わるための能力(確実性・決断力・行動力・指導力・信頼を得る力)(4)自分自身を洗練化する能力(看護観・責任感・自己洞察)が必要であると認識していた。今後は、分析結果を構造化し、患者の自己決定を支える看護モデルを構築していく。