研究課題
一般研究(B)
老人がん患者に適切な治療を推進しつつ、本人のQOLを尊重した医療を提供していくためのポイントとして「十分な説明にもとづいた本人の納得と同意(IC)」に焦点をあて、本研究では老人がん患者にふさわしいICに向けて医師と看護婦が共有できる支援方法の開発をめざす。まず今年度は、老年期のがん患者のICの特性や現実的な課題を明らかにすることを意図して、以下に示す2側面からの調査研究を実施し、次年度の研究の基礎となる様々な成果を得た。1)老人がん患者の経過に沿ったICの実態とニーズの把握老人癌患者49ケース(性:男性32、女性17、年齢:70歳未満15、70歳代27、80歳以上7、診療科:泌尿器科23、外科11、血液科7、その他8、療養形態:入院中37、外来通院中12、病期:早期32、中期12、晩期5)を対象に、半構成的なインタビュー調査を実施した。逐語録をデータとしてコンピュータ入力し、系統的質的分析をおこない、高齢の癌患者が体験しているICのプロセスの特徴(情報をめぐっての老人の不安・疑問・理解の特徴、老人の主体性と家族、医療スタッフとの関係、老人のニードの詳細と援助を求めているタイミングなど)が明らかにされた。2)ICに携わる医師、看護婦の抱えている問題や実践上の工夫の把握上記ケースに関係した医師や看護婦の記録類、ケースの調査データをもとにしたケースカンファレンスなどをもとに、ICを支援する上での実践的な問題や具体的方法の課題・工夫などが把握された。
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