1.骨吸収窩の立体計量-骨吸収の定量:骨吸収窩の形態は、これを形成する破骨細胞の機能活性を反映する。ここでは、若齢と老齢のマウスの頭頂骨の内側表面にある骨吸収窩を立体走査顕微鏡写真にし、骨吸収窩の深さ、大きさ、軸の方向性を画像解析機(ツアイス-IBAS)を用いて計測した。骨吸収窩は、若齢のものでは大きく、深く、円形状であったが、老齢では細長く、浅かった。これらは、破骨細胞は、若いもので活発な骨吸収機能を示すのに対して、老齢では骨吸収機能は活発でないこと、および骨吸収しながら示す細胞移動の状況も異なることを示した。また、骨表面は、老齢では骨形成-骨吸収平衡が不均衡となっていることを示した。 2.骨吸収窩の2種:高感度反射電子検知器付き走査電子顕微鏡を用いて、マウス頭頂骨内側表面の骨吸収窩を観察すると、反射電子で光るものと、光らないものの2種を区別することを発見した。ここでは、反射電子像は、骨基質表面に石灰沈着のあるものとないものを示している。また、この2種は、表面形態でも異なり、膠原線維を見せる粗面をもつものと、膠原線維が明瞭でない平滑なものとに一致していた。このことは、破骨細胞の骨吸収機能が、2相性を示すことを示唆する新知見である。 3.骨吸収-骨形成バランス:下肢支配神経を切除した骨量減少モデル、エストロゲンを投与した骨量増加モデルを作成し、経時的に骨形成と骨吸収を観察した。これらの条件設定の早期、たとえば1日後に、骨吸収が活性化され、骨吸収像が明瞭となり、ついで骨形成が旺盛となり、ついで条件により骨量の減少、あるいは増加の結果となることを知った。すなわち、、いづれの条件でも反応は、早期に骨吸収-骨形成の両面を示しことを知った。老齢では、反応は遅延した。
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