1.目的 先天性奇形心のモデルとして、幼若家兎に対して慢性的な容量負荷あるいは圧負荷心を作成し、得られた未熟肥大心を用いて再灌流障害の検討を行う。まず、再灌流時の心筋内pHおよびCa^<2+>濃度と心機能回復の関係を検討し、再灌流未熟心に対するCa^<2+>の重要性を明らかにする。また、再灌流幼若心の収縮蛋白のCa^<2+>感受性低下と心筋内pH低下の関係を明らかにする。 2.結果 1)生後1週間家兎摘出心に対して40分間の灌流遮断後、30分間の再灌流を行い、心機能の回復を検討した。再灌流時にCa^<2+>濃度を1.75mMから2.5mMに増加させると、心収縮能の改善は認められた。成熟心で再灌流障害を軽減するとされているNa^+/H^-交換抑制剤アミロライドは、1周家兎再灌流心の機能低下を改善しなかった。Cl^-/HCO_3^-交換抑制剤であるSITSの無効であった。 2)収縮蛋白のCa^<2+>感受性を増大させるピモベルダンは1周家兎再灌流心の機能低下を劇的に改善した。 3)生後1周家兎に腹部大動脈-下大静脈連絡を作成し容量負荷肥大心モデルを、腹部大動脈狭窄作成により圧負荷肥大心モデルを完成させた。 4)摘出灌流心システムを直径25mmコイルの^<32>P-NMR装置に適合するよう改良し、3分間毎のサンプリングで高エネルギーリン酸化合物の濃度測定および細胞内pHの変化の測定を可能にした。
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