研究概要 |
平成7年度に作成した患者リストをもとに,保護者の同意のうえで患者の追跡を行った.追跡期間を初診時から平成6年末日までとした.先ず,平成7年1月1日移行の対象者の医療機関受診状況を各医療機関を対象に確認した.追跡対象者6,576名中923名の受診があり,これらの者は観察終了日現在の生存が受診によって確認された.受診がなかった者は住民基本台帳により生存の確認を試みた.その結果,5,575名の住民票を入手することができ,これらの者は住民基本台帳に登録されていることで観察終了日の生存が確認された.残りの者のうち,戸籍抄本によって32名の生存が確認され,以上の結果,観察終了日に生存が確認された者は合計6,530名であった.観察終了日以前の死亡は20名で確認され,合計6,550名(99.6%)が追跡できた.追跡不能者は26名であり,これらの者の多くは長期間受診がなく,医療機関に残っている住所地の住民基本台帳に登録されておらず,転居により除票の保存期間(5年間)が経過したものと考えられる. 死亡者20名について医療機関より死亡診断書を入手した.他の医療機関で死亡診断書(死体検案書)を作成したケースでは,法務省の許可により死亡届に添付されていて法務省の出張所に保管されている死亡診断書のコピーを入手した.初診後2か月以内の急性期の死亡例は8例で,事故による死亡1例を除く7例が川崎病による死亡であった.急性期以降の死亡12例のうち,川崎病によるものが2例,循環器系の先天異常によるものが3例,血液・免疫系の悪性新生物によるものが2例であった. 平成9年度はこれらのデータをもとに,人口動態統計のデータをもとにした全国の死亡率とこの集団の死亡率の比較を行い,川崎病既往者の予後とこれを規定する因子を明らかにする予定である.
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