研究概要 |
1,高濃度メチル化ビタミンB12の細胞接着への影響 高濃度メチル化ビタミンB12をインドほえじかの胸腺細胞に長期間投与すると細胞接着能が亢進する。その形態変化および物質変化を検討した。細胞接着はトリプシンには抵抗性があったが、EDTA投与によってなくなったことから、細胞接着能の亢進はカルシウムイオンが必要であることが予想された。生化学的な分析ではグルコシルセラミドが対照の8倍近く増加しており、またグルコースを培養液中に添加すると細胞接着を特異的に阻害することにより、この細胞の接着にはグルコースが関与することが予想された。 2,皮膚三次元培養創傷治癒モデルの確立 三次元培養によって形成された皮膚モデルの中央部に全層欠損部を作製し、別の真皮モデル上に載せて培養を継続した。通常の培地からEGFとBPEを除き血清を2%にしたものを基礎培地として増殖因子の添加実験をおこなった。増殖因子を添加した5日目のDNA合成率は、コントロールのDNA合成率を1とするとTGF-α/1.35、TGF-β/0.32、IL-6/1.49、KGF/1.41、HGF/0.94、PDGF/1.00であった。DNA合成率はTGF-α、IL-6、KGFを添加するとコントロールに対して有意に上昇した(P<0.05)一方、TGF-βの添加では有意に低下し(P<0.05)、またHGF,PDGFの添加では差を認めなかった。この結果表皮角化細胞の増殖そのものに作用を持つ増殖因子が、表皮層の再生に直接的に関与することが大きいと推察された。
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