研究課題/領域番号 |
07457606
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
小川 亮惠 関西医科大学, 医学部, 教授 (90077610)
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研究分担者 |
赤木 繁夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (80148501)
戸田 佳孝 関西医科大学, 医学部, 助手 (20247927)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 慢性関節リウマチ / 変形性関節症 / 遺伝子診断 / HLA / サイトカイン / II型コラーゲン / 肥満 |
研究概要 |
この3年間に我々は、慢性関節リウマチ(以下、RA)と変形性関節症(以下、OA)などのRA関連疾患の病態にHLA-DRB1遺伝子型の及ぼす影響について検討した。 (1)RA患者(n=329)の骨破壊進行度とHLA-DRB1遺伝子型を比較した。その結果、HLA-DRB1*0101,もしくは0405を両方の相同染色体(対立遺伝子)に有する患者では、それらの遺伝子を一方の対立遺伝子にのみ有する患者や、それらを全く有しない患者より急速に骨破壊が進行していた。 (2)OA患者(n=52)でもある種のHLA-DRB1遺伝子が関連するのか否かを評価した。その結果、HLA-DRB1*0405の遺伝子頻度はRA群でOA群や健常日本人群より有意に多かったが、HLA-DRB1*0101はRA群と同様、OA群でも健常日本人群より有意に多かった。つまり、HLA-DRB1*0101遺伝子はRA関連疾患による関節炎でも高率に検出される遺伝子であり、RAの骨破壊進行度に特異的な遺伝子ではないと予測された。 (3)RAにおいて炎症を惹起するインターロイキン-6(以下、IL-1、IL-6)の分泌に遺伝的要因がどのように関与したかを観察した。その結果、HLA-DRB1*0405遺伝子を有する症例(n=45)では平均27.4pg/dlであるのに対して、その遺伝子を有さない群(n=39)では僅か11.9pg/dlと、有意にHLA-DRB1*0405を有する群で高値を示した。このように、HLA-DRB1遺伝子型はRA患者の血清中サイトカイン濃度とも関連すると考えた。 (4)HLA-DRB1遺伝子型によってRAの治療効果に差が生じるか否かを検証する目的で、HLA-DRB1遺伝子とII型コラーゲン経口療法の治療効果をHLA-DRB1遺伝子型別に比較した。その結果、HLA-DRB1*0405遺伝子を有するRA患者(n=22)ではその遺伝子を有さないRA患者(n=16)に比べて、腫脹関節数が有意に低下した。以上より、HLA-DRB1*0405を有するRA患者ではII型コラーゲンによる経口トレランスが成立しやすいのではないかと考えた。 (5)膝OAの骨破壊進行度においては、HLA-DRB1遺伝子型といった先天的要因のみならず、肥満などの後天的要因が深く関与する。そこで、肥満した変形性膝関節症患者に対するダイエット療法の効果を評価した。その結果、4.6±1.0kgの体重減少を示したダイエット群では、非ダイエット群では認めなかった起床後動作開始時、30分立位継続、階段昇り時に疼痛を訴える患者の割合が有意に改善した。以上より膝OAの諸症状にはHLA-DRB1遺伝子型といった先天的要因のみならず肥満といった後天的要因も重要であると考えた。
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