研究概要 |
HCVキャリア・非HIVキャリア妊婦(正常リスク群)の出生児57名の長期プロスペクティブ経過観察を行い、3名、5.3%のキャリア化児を得た。1名は生後8カ月間血中HCV-RNA陽性、生後12カ月より陰性化、その後5歳を過ぎても持続陰性である。他の2例は生直後より血中HCV-RNA陽転、以後持続陽性である。始めの1例と後群の1例、計2例、67%に血中ALT/ASTの軽度亢進が認められ、厚生省非A非B肝炎研究班(吉沢浩司班:88例経過観察)の結果に児のキャリア化率(2.3%)を含めてほぼ同様の結果が得られた。 また、キャリア母のHCV-genotype,授乳期間がHCV母子垂直感染のリスクファクターにはならないことを明らかにした。分娩時母HCV-RNA力価と児キャリア化との間に正の相関は得られなかったが、結論はなお症例を増やして検討したい。 HCV/HIVキャリア妊婦(ハイリスク群)の出生児に関するドイルよりの成績は症例が思うように増えず、平成8年度の継続課題として今後検討したい。 以上の結果は下記の論文に発表された。 1)岡嶋祐子、深沢一雄、池田和則、稲葉憲之:産婦治療,70:861-865,1995 2)稲葉憲之、正岡薫、岡嶋祐子、池田和則:産婦実際,44:1575-1580,1995 3)稲葉憲之、正岡薫、岡嶋祐子:病態生理,14:1024-1027,1995 4)稲葉憲之:産婦治療,71:86-91,1995
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