研究概要 |
HCV母児感染における児キャリア化の最も顕著なリスクファクターは母HCV/HIV重複キャリアである。次いで母intravenous drug user(IVDU)である。共に、その理由として母免疫機能低下による移行抗体の減少が考えられる。我々は非HIV,非IVDUのHCVキャリア母(通常群)におけるリスクファクターを検討し、以下の結論を得た。 1)分娩時母体血中ALT値上昇はHIV重複キャリア母同様、高いリスクファクターであることが判明した。即ち分娩時母ALT値が110IU/mlを越えた群では57.1%の高い児HCVキャリア化率を示したが、110IU/ml未満の群では5.9%にと止まった。 2)HCV-RNA量(半定量)、genotype,授乳期間についても検討したが、有意な傾向は認められなかった。 以上の結果より妊娠末期における母体肝機能の改善がHCV母児感染予防として肝要であることが示唆された。
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