研究課題/領域番号 |
07457608
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 講師 (90192062)
|
研究分担者 |
山邊 博彦 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00135592)
佐川 典正 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00162321)
|
キーワード | 卵巣癌 / p53 / 性ステロイド受容体 / nm23 |
研究概要 |
卵巣癌におけるp53遺伝子変異に関連するp53蛋白過剰発現の免疫組織学的解析において、粘液性癌ではp53発現が組織学的悪性度の高い上皮細胞にのみ観察され、この癌は大腸癌と同様に良性病変に種々の遺伝子変化が生じることにより発癌する可能性が強く示唆され、一方、漿液性癌ではp53陽性細胞が一見良性とも思える上皮細胞を含めて腫瘍全体に均一に分布し、良性病変を介さず発癌する可能性が示された。またp53発現頻度は組織型により異なるとともに、腫瘍の性ステロイド受容対発現と明瞭に逆相関し、卵巣癌はその性ステロイド依存性の有無と関連する特徴的な遺伝子変化が存在する可能性が示唆された。さらに、分子病理学的検討の予備実験としての、同一パラフィン切片の組織学的に異なる部位からのDNA抽出は十分可能であり、卵巣粘液性腫瘍におけるK-ras変異は腫瘍内heterogeneityが存在する場合があり、この腫瘍がadenoma-carcinoma sequenceの過程を経て癌化していくことがさらに裏付けられてきている。 卵巣癌の進展形式については、これまでの検討により卵巣癌の遠隔転移にc-erbB-2遺伝子および転移抑制に関与するnm23遺伝子のmRNA発現が深く関与することが明らかとなった。また、卵巣癌細胞のVEGF強発現は進行癌に多く認められ、腹腔内進展と有意に関連することが明らかとなった。卵巣癌患者の血中VEGF値のELILSA法による測定では、正常女性に比し、明らかに高値を示し、VEGFが卵巣癌患者の新しい腫瘍マーカーとなりうる可能性も示唆されている。
|