ビ-グル成犬8頭を、ネンブタール麻酔下にて3万倍希釈ボスミンを局注し、それらの口蓋粘膜7×20mmの人工的粘膜骨膜欠損を左右二カ所に作製した。右側には創傷被覆材であるテルダーミス(コラーゲンスポンジ層に周囲健常組織から自己の組織を侵入させ、組織再構築させる治療剤)を移植して縫合固定した。左側は開放創とし、ソフラチュールにてドレッシングし、保護床にて圧接固定した。術後は抗生剤にて感染予防し、1、2、3、4、週に2頭ずつ剖検し、テルダーミス移植部と開放創部とを肉眼的および病理組織的検討を行った。肉眼的には、止血効果、上皮化、創面積の収縮率などを、また病理組織学的所見ではH-E染色、エラスチン染色などにより、上皮脚の再生、粘膜固有そうノラコ-ゲン繊維束などについて検討を行った。その結果、テルダーミス群には止血効果がみとめられ、上皮化は同群のほうが遅い傾向がみられた。創面積の経時的変化はいずれの週でもテルダーミス群の方が創収縮率が小さかった。テルダーミス群のほうが上皮脚形勢促進効果を認めた。
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