研究課題/領域番号 |
07457613
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長山 勝 徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)
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研究分担者 |
中西 宏彰 徳島大学, 歯学部, 助手 (00243717)
松本 文博 徳島大学, 歯学部, 助手 (70229566)
後藤 裕士 徳島大学, 歯学部, 助手 (60225670)
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キーワード | 骨芽細胞 / グルココルチコイド / 生体材料 / 骨形成 / 石灰化機構 / コラーゲン |
研究概要 |
昨年度、骨芽細胞の分化促進因子としてデキサメサゾン(Dex)の効果をin vitroにおいて検索した結果、10^<-8>〜10^<-6>Mの範囲で分化促進作用を有することが明らかとなった。そこで、Dex存在下にコラーゲンスポンジを支持体としてヒト顎骨由来骨芽細胞様細胞を三次元培養し、これを支持体とともにスキッドマウス筋膜上に移植したところ、6週間後に軟X線撮影にて石灰化組織の形成が確認された。そこで本年度は、石灰化組織をより短期間で形成させるための至適条件の検討とこの石灰化組織の形態学的検索を詳細に行った。 細胞密度をこれまでの3倍にあたる3×10^7cells/mlにてコラーゲンスポンジに播種し、10^<-7>M Dex存在下に三次元培養を行うと、移植2週後にすでに骨様組織が形成され、以後8週まで経時的に増大傾向を示した。この骨様組織は移植細胞により新たに産生されたコラーゲン性基質を中心に形成されていた。またアルカリホスファターゼ(ALP)活性とオステオカルシンが骨様組織に近接して配列する細胞に認められ、この両者の発現細胞の局在性はほぼ一致していた。透過型電子顕微鏡による観察では、針状結晶様構造物を含む基質小胞様の膜状構造物や、本細胞により産生されたコラーゲン細線維に沿って高電子密度を示す針状結晶の沈着がみられ、さらに石灰化基質に囲まれた骨細胞様の細胞もみられた。Dex非処理群では骨様組織は形成されず、移植細胞は弱いALP活性を示したオステオカルシンは認められなかった。また、スポンジのみの移植でも骨様組織は形成されなかった。 以上より、デキサメサゾンで処理した培養ヒト骨芽細胞様細胞は、コラーゲンスポンジを支持体として移植すると、生体内と類似した過程を経て骨様組織を形成することが明らかとなった。
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