研究課題
訪問看護にかかわる専門能力を大学院で育成することをめざした教育カリキュラムに含められる教育内容を以下のとおり明らかにした。1)ケア提供に係わる看護技術この学習項目に含められる本人・家族への精神的な支援、家族への教育指導技術、身体ケア技術、医療医療処置技術、機能回復を促す技術については、学士課程で学習できていると考えられる。特に訪問看護の教育においては基本の学習事項である家族看護支援の本質を看護学の基礎課程の初期に伝え、家族看護の具体的なイメージを学生が描けるような工夫をしている。支援方法では、家族内の人間関係や家族の問題解決能力等を総対的に見極めることと、当事者側がセルフケアに取り組めるようにすること、さらに先を見通した対応をすることが重要である。つまり家庭で展開する看護の特質を伝えることが重要である。2)看護管理この学習項目には、スタッフの教育、スタッフの労働管理、ケアの量・質の管理、経営管理が含まれる。これらは学士課程においてはほとんどつたえられていない。したがって、本項目は修士課程の教育内容に位置づくものとなる。3)他職種・他機関との連携及び共同活動この学習項目には、チームづくりやネットワークづくりの考え方・方法、患者の立場を代弁する方法が含まれる。学士課程においては行政サービスシステムの中で機能する看護専門職すなわち保健婦の役割を伝える授業や実習を計画し理解を促す方法をとっている。