専門料理人に対するアンケートの結果から、焼き魚のおいしさには姿形の良さ、表面の状態、焼きムラの有無、焦げ色、身のほぐれ、汁け、うま味が必要であり、配点の高かったおいしさに重要な項目は焦げ色、汁け、うま味であった。得られた焼き魚おいしさ評価シートを用いて消費者パネルによる官能検査を実施し、その妥当性を確認した。熱源の温度はいずれも800度付近であったが、放射率は炭、ブラスト式、ブンゼン式の順に0.63、0.59、0.17であり、特に長波長側(5μm以上)の放射が炭では高かった。 官能検査では炭、ブラスト式に比べ、ブンゼン式で加熱したアジの焦げ色およびうま味の項目の点数が低かった。また、炭、ブラスト式間に有意の差はなかった。一定の内部温度までの到達時間を変化させた時、焼き魚の仕上りは加熱時間が短いものほど重量減少が大きく、肉質は硬く、焼き色は強かった。炭またはブラスト式により両面を10分間かけて加熱したアジが最も好まれた。 以上より、焼き魚のおいしさには焦げ色、汁け、うま味の寄与が大きく、一定の条件下では炭とガス(ブラスト式)の仕上りが等しいことが明らかになった。食の多様化に伴う加熱機器の開発が盛んな今日、本研究の結果は有用な情報となると思われる。
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