研究概要 |
ニンニクおよびショウガ科植物ナンキョウ中の活性成分の加熱調理中の安定性について検討した。ニンニク中の抗酸化活性成分アリシンは、水中で加熱調理すると直ちに分解するが、油脂を共存させると分解が抑制され、独特の風味と共に活性が高まることが解った。この効果は、油の量が多いほど、またα-Tocなどの抗酸化物質が共存したほうが高かった。また、アリシンを移行させた油脂は保存性が顕著に高まり、8週間でも不快臭の発生が少なかった。この際の活性成分はアリシンより生成するジアリルジスルフィドであった。 ナンキョウ中の抗酸化活性成分である1'-アセトキシチャビコールアセテート(I)もアリシンと同様に、水中で加熱調理すると直ちに分解するが、油脂を数%でも共存させると分解が抑制され、さらに油中では、約120±で60分加熱しても約60%の(I)が残存していた。この結果より(I)の分解は温度よりも水の存在が大きく影響していることが分かった。また、分解物である1'-ヒドロキシチャビコールアセテートとp-アセトキシシンナミルアルコールの抗酸化活性は(I)より劣るが、両者が共存すると相乗効果により(I)に近づく傾向が認められた。これらの結果より、ニンニクやナンキョウを食材として利用し、その生理機能性を期待するためには、油脂の利用など調理条件を検討することが重要であることが示唆された。 コショウ中の酵母の脂質蓄積阻害活性物質として先に(E,E)-2,4-デカジエン酸(II)を報告したが、今回その作用機構について検討を加えた結果、(II)はグリセロール-3-りん酸デヒドロゲナーゼの作用を阻害することが分かった。
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