研究概要 |
香辛料を食品素材として位置づけ、その生理機能について総合的に評価するための基礎データを得ることを目的とし、エスニック料理に不可欠な香辛料であるニンニク、ナンキョウ(ガランガルともいう)、コショウについて活性成分の分離および加熱調理中の安定性について検討し、以下の結果を得た。 ニンニクの抗酸化成分を精査した結果、アリシン(I)およびジアリルジスルフィド(II)が重要成分であった。従来、(I)は不安定で(II)に変化しやすいことが知られているが、油脂を用いて調理した場合、(I)はかなり安定化され、それは純粋ラ-ドより、α-Tocなどを含む大豆油の方が、また油量が多いほど安定に存在し、活性も高かった。ニンニクと加熱した油は保存性がよくそれは(II)の作用によるもので、VCやα-Tocが共存するとより高い活性を示した。 ナンキョウの抗酸化活性成分として1'-アセトキシチャビコールアセテート(III)、p-ヒドロキシシンナミルアルコールおよびそのグリコシドを同定した。(III)は抗腫瘍、坑癌かっせいなどがあり最近注目されていることより、安定性について精査した。水中で沸騰すると直ちに分解し、1'-ヒドロキシチャビコールアセテート(IV)とp-アセトキシシンナミルアルコール(V)に分解されるが、油脂の共存により(III)の残存率が高まった。また、各分解物の抗酸化活性は(III)より弱いが、1:1で共存すると相乗効果により(III)に近い活性を認めた。以上のことより活性成分の調理中の動態は様々であり、まずは食するまでの成分の動態を精査することが香辛料の生理機能を考えるうえで重要であることが解った。 また、酵母の脂質蓄積阻害活性を指標としてスクリーニングした結果、コショウに活性を認め、活性成分として(E,E)-2,4-デカジエン酸を同定した。
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