妊娠、授乳および食生活を含む生活習慣が骨密度に及ぼす影響について、前向き研究により縦断的に観察し、検討した。対象者は、妊娠初期(5-20週)と出産後の2回継続20人(G1群)、出産後と出産後6カ月の2回継続の46人(G2群)、妊娠初期より出産後、出産後6カ月の3回継続の13人(G3群)、出産後および6、12カ月の3回継続の13人(G4群)の4群に分けて分析を行った。その結果、 (1)骨密度は出産後には妊娠初期に較べ有意(P<0.01)に低下した。 (2)6カ月間母乳栄養を行った者(乳児栄養として母乳のみ)では、骨密度が有意に低下したが、混合栄養群では低下率は小さく、人口栄養群では逆に出産後より上昇した。 (3)乳、乳製品摂取量が多い程、全般的に骨密度低下率が小さく、授乳による影響も小さく、統計的に有意ではなかった。 (4)乳、乳製品摂取量が少ない状態で授乳した場合、骨密度は出産後1年以上では6カ月前よりさらに低かった。 (5)出産児数が多い場合、出産後の骨密度は小さいことから、骨密度が回復しないで次の出産をしたことになる。 (6)尿中H.P/Creの平均値は、出産後は妊娠初期に較べかなり高値で、骨吸収が亢進して出産後に骨密度が低くなったと考えられる。 (7)尿中H.P/Creが亢進している出産後6カ月の骨密度の低下率が大きかったことから、骨吸収の亢進の程度に伴い骨密度が低くなると考えられる。
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