コロイド食品の中でも米飯の加熱による糊化過程の解析は食味特性の上からも注目されている。これまでの成果は炊飯過程において溶出するでんぷんのコロイド分子のもつ粘性によって炊飯過程を把握することに重点をおいたものであるが、今回は従来の示差屈折計に貴科学研究費によって購入した光散乱光度計を設置した検出器を使用して、従来にない高感度の分子量分布を測定することが可能になったが、これを食品に適応した例が希少で溶媒などの抽出条件や試料の中にある微量成分などの影響がみられ、測定を繰り返し行うことに手間どったので、充分ではなく、水分の多い炊飯過程の変化を明かにするには検討の余地がある。本研究では米粒の炊飯過程において溶出したコロイド分子の有する粘度や形状の変化ならびに走差電顕による米飯粒の膨潤度や表面観察などを行った。また、本年度は品種の異なる米について、飯粒洗浄液を試料として、本機による米粒でんぷんの分子量を測定した結果、数百万のものが獲られ、現在の指差屈折計より、高感度で測定を行うことができた。重量平均分子量はどの品種においても低分子画分が大部分をしめており、おねばではどの品種においても低分子画分のしめる割合が高いと考えられる。おねば中のでんぷんはコシヒカリ、ヒノヒカリなどのジャポニカ米が多く、ユキヒカリが少なく、おねばのヨウ素呈色最大吸収波長はホシユタカ、タイ米が多く、これらのおねば中には平均鎖長の長いアミ-ズが多く含まれていると考えられる。おねばの分子量を再検討することによって、コロイド化との関連を明らかにする予定である。
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