脂溶性抗酸化系ビタミンEの機能ついて検討した。ラットをビタミンE欠乏食で飼育し、ビタミンE添加食で飼育した対照群と比較した。欠乏4週間で心臓、肺、腎臓における脂質ヒドロペルオキシド濃度が有意に増加していた。通常ビタミンE欠乏の症状を見いだすには何か月もの時間がかかることを考えると、わずか4週間で変化が見られる脂質ヒドロペルオキシドは生体内ラジカル反応の指標として極めて優れたものであると結論できる。 次に従来試験管内(in vitro)の研究において、脂質層にあるビタミンEがラジカルに水素を引き抜かれてトコフェリルラジカルになったとき、水層に存在するビタミンCが水素を供与して、トコフェリルラジカルからビタミンEを再生することが知られている。さらにその反応速度までが決定されているが、生体内(in vivo)で実際にこのような反応が意味を持つかどうかについて検討した.遺伝的にビタミンCを合成できないODSラットを対照群、ビタミンC欠乏、ビタミンE欠乏、ビタミンC、E同時欠乏群の4つの群にわけ、各種臓器中の両ビタミンの濃度変化を追跡した結果、両ビタミン間の生体内での相互作用の存在が確定した。 生活習慣病の代表であり、ラジカル反応、即ち、ビタミンC、Eと関連深い動脈硬化について、検討した。動脈硬化は低密度リポタンパク質(LDL)が酸化的修飾を受け、それがマクロファージに認識されてとりこまれ、マクロファージが泡沫化することで発症すると考えられているが、マクロファージが何を認識するのかは明らかでない。我々は、LDLの酸化において、シアル酸残基が酸化的修飾を受けて減少していくことを明らかにした。これは認識との関連で興味深い。
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