1.7年度作成した学習指導スタイル観察法になお問題を認めたため、より有効な観察法の開発をめざして検討を加え、教師と学習者の主導性の視点から、4次元で観察記述する方法を完成させた。4次元とは、(1)各授業場面の時間量の次元、(2)授業の場面転換に関する主導性の次元、(3)各授業場面内の主導性の次元、(4)教師の相互作用に関する主導性の次元である。 2.この観察法を適用して、62の小・中学校の体育授業を観察分析した。その結果、この観察法によって、授業における教師・学習者の主導性の発揮のしかたがよく理解できることがわかった。このような主導性の発揮のしかたは、発達段階や運動種目(教材)によっても異なることが明らかになった。さらに単元過程においても変化し、単元はじめの数時間は教師が強く主導性を発揮し、中盤から次第に学習者が強く主導性を発揮していることがわかった。 3.この観察法による分析結果と、学習者による形成的授業評価との相関分析の結果、単元なかの授業においては、教師が主導性を発揮するよりも、学習者が発揮した方が大きな授業成果を収めることができることがわかった。このことは、今日文部省が推進している自主的・自発的学習のよさを実証することにもなった。 4.関連研究として、「体育授業中の諸変数が授業成果に及ぼす影響」「観察者の授業評価視点の構造分析」「授業過程での学習者の集団的・情意的行動観察法の開発」等についても研究し、成果を発表した。
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