高齢者の歩行における安全指導のための基礎研究として、この度の科学研究費補助金により活用が可能となったアイカメラを用いて視覚情報の処理過程の分析を行った。まず、実験室において、歩行分析のためにこれまでに用いてきたフォースプレート(キスラ-社製)の記録の収集と、アイカメラでの記録の収集とを同時に行えるように工夫した。その結果、これまでに用いてきた特別の歩行路を用いて、アイカメラの記録をフォースプレートの記録と共に解析することができると共に、歩行動作を解析するために用いたビデオカメラの記録ともに資料を収集できるまでに至った。 高齢者を被検者として用いる前に、学生の被検者を用いることにより、分析システム全体の機能を高めることができた。本年度は予備実験を行うに止めたが、障害物をまたぎ越える際の歩行動作に着目し、アイカメラで収集した画像画面の解析により、時間の経過と共に注視点の移動の経過、視野の中における注視点の分布などの解析資料を得ることができた。 また、実験室を離れて、実際の階段の上り下りの動作中のアイカメラによる視覚情報処理様式の解析も行った。これは、フィールド実験の予備段階として行ったものであるが、分析資料を収集できることを確認した。
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