1 平成9年度には山形(県史編さん室)、静岡(県史編さん室)、三重(県史編さん室)、千葉(県文書館)、長崎(県立長崎図書館)、広島(県立図書館)、岡山(県立図書館)、山口(県文書館)、宮崎(県立図書館)などで関係資料の検索を行った。 2 長崎県では明治18、38〜43年の合わせて7ヶ年分の水車造設廃業関連簿冊が現存し、限られた年数ながらも県全域の水車存廃の状況が明らかとなった。例えば、東彼杵群での陶石土粉砕用水車、南高来群での木蝋原料櫨実粉砕用水車の存在や、佐世保鎮守府の軍用水道敷設計画によって廃止される水車の宿命など、何れも長崎県の風土性を反映した興味深い事実である。 3 山形県では明治22〜大正13年の西村山群『土木一途』簿冊24点によって、僅かに西村山群に限り水車築設廃止状況が判明する。その用途は、概して明治期は製糸用、大正期は精米用である。 4 山口県に関しては、唯一、大正15〜昭和11年の簿冊『水車建設廃止一件』1点が現存するのみである。 5 その他の県においては水車設置出願・廃止届出規則が存在し、その書式も定められていながら、残念ながら文書の現物を探し出すには至らなかった。 6 宮崎県には多数の水力発電出願文書が保存されていて、特に大正期の電源開発の状況解明に極めて有用である。
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