研究課題/領域番号 |
07458036
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研究種目 |
一般研究(B)
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研究機関 | 筑波技術短期大学 |
研究代表者 |
大沼 直記 筑波技術短期大学, 教育方法開発センター, 教授 (20169022)
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研究分担者 |
佐藤 正幸 国立特殊教育総合研究所, 視覚言語障害教育研究部, 研究員 (50222021)
後藤 豊 筑波技術短期大学, 電子情報学科, 教授 (90205617)
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キーワード | 高齢者 / 聴覚障害 / 難聴シミュレーション / 補聴器 / ノイズ / 音響環境 |
研究概要 |
(1)聴覚障害者(高齢者、難聴児を含む約200名)の純音標準聴力検査を施行した。その結果、加齢による聴力の減退は3000Hz以上の高音域の周波数帯から始まり、高齢者の聴力図は高音漸傾型のオ-ジオグラムを呈することが確認された。 (2)高齢者に対する標準語音聴力検査を施行した結果、70歳代の殆どの者に語音了解度の著しい減退傾向が認められ、大部分の高齢者には補聴器を必要とする程度の難聴があることが確認された。 (3)日常生活における音響環境状況を把握するために、今年度は特に、家庭内における種々の騒音を収録し、実態分析の資料を収集した。 (4)その結果、特に台所周辺から発生するノイズ(料理をする音、食器洗いの雑音、換気扇、湯沸かし器、電子レンジ、冷蔵庫などの音、買い物袋やポリ容器から物を出し入れする音、ゴミ用のビニール袋をとりまとめるときの音など)は想像以上に大きく、聞きたい音声をマスキングすることが明らかになった。 (5)今後の課題として、高齢者の楽しむテレビ番組の音声の聞こえを採り上げる必要がある。特に最近多くなってきた加工音声(プライバシー保護の目的でわざと話し声を加工し歪ませる放送)は、補聴器装用者や高齢者の音声受聴了解度を低下させる新たな難題であることが分かった。 (6)聴力検査では同じ程度の難聴であっても、実際のコミュニケーション状況の中では、了解度の高い者と低い者、意味理解の手がかりとして上手に聴覚を利用できる者とそうでない者との差が生ずる。今後、オ-ジオロジー(聴能学)の観点から検討する必要があることが示唆された。
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