研究概要 |
(1)本研究の経緯及び研究の方向は,先の科学研究費補助金の研究から(1)音声面のみによる聴解,記憶保持,及び内容理解には限界閾があると考えられる。なお,速度変換音声情報と同期した映像情報を与えると,一部大きな相乗作用が確認されている(2)上記(1)の限界閾を広め,英語教育に資するために相乗作用の検証,特に映像情報からの補償機能についての研究を,新たに非言語面,主に空間学,動作学の視点から行う必要性がある(3)原語によるキャプション字幕を伴う映像が,音声聴解,記憶保持,そして内容理解にどのように関わるかを解明する必要性があることが得られ,これら一連の研究の結果から蓄積されたデータを基に聴解過程に関する諸問題等の解明を中心課題とし,速度変換を音声面のみでなく,映像面に拡張し,このことで語学学習者の語音識別及び内容理解の度合いを一層上昇させることの出来る効果的学習システムの確立を目指すものである。 (2)本年度の研究計画は,上述した(1)を受け,速度変換を施した実験刺激を作成できるシステムの構築であった。研究計画は滞りなく遂行され,研究室において実験刺激の作成が行える環境を得た。 (3)我が国のLLや視聴覚英語教育においては,ビデオ・キャプションの出現でモダリティの干渉が問題になっているが,アメリカにおいては,それほど神経質にならずに外国語教育が行われている傾向があるのではないかと思わせるいくつかの知見が得られた。日米の差違を本研究の中で比較していくことで,新たな知見が得られる可能性があると考えられる。
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