研究概要 |
理科授業におけるコミュニケーション活動を通した子どもの自然認識の活動が、ホワイト(White, R. T.)及びハブチン(Bahktin, M. M.)による知識論により整理できることが明らかとなった。それは、次の1〜5に整理することができる。 1.コミュニケーションを言語的側面のみに限定することなく、パフォーマンス、イメージ、エピソード記憶等とも関連させることにより、子どもの認識活動の内包性を拡大することができた。 2.コミュニケーション活動を通した認識の成立においては、子どもの価値意識が不可欠であることが明らかとなった。価値意識の内実が認識内容を左右させた。 3.個人における認識の成立の背景には、これと対峙する多様な価値意識及び認識体系を保持する社会(教室における多数の他者の存在)が存在し、また必要不可欠であることが明らかとなった。個人と集団とのコミュニケーション活動におけるループの存在である。 4.子どものコミュニケーション活動の一次的な源泉は、彼を取り巻く他者、教科書、TV等の多様なメディアである。こうした一次的な情報への触発により、内言に見られる真性の認識が成立していく。 5.子どものコミュニケーションは特定の状況を背景としてなされる。そして、こうした活動の加重的な関わりにより、認識内容が形成、発展していく。 平成8年度においては、こうした子どもの認識活動を指標として、理科授業におけるコミュニケーション活動を通した認識内容の力動性を明らかにし、授業成立の視点を確立させたい。
|