本年は「通信最適化方式に基づいた相互結合網の新しい評価方式について研究」の第二年度にあたり、具体的通信方式、特に分散共有方式と結び付いた通信の最適化とその評価に関する研究を遂行した。本年の研究では、対象を分散共有メモリプロトコル、特に一般化したメモリコンシステンシモデル(エラスティック・メモリコンシステンシモデル)とした。 分散共有メモリプロトコルに関しては、通信網のノードが積極的に通信メッセージ数の削減を行なう方式について、方式の提案とシミュレーションによる評価を行ない、文献[1]として発表した。 緩和されたメモリコンシステンシモデルとしてエラスティックコンシステンシモデルがある。本研究は、そのエラスティックメモリコンシステンシモデルの具体的な実装法の検討、実装による実証、モデルの予備的評価を目的とした。モデルの予備的評価に関しては、各種メモリコンシステンシモデルに関する定性的比較や各種メモリコンシステンシモデルが使用可能な分散共有メモリマルチプロセッサのシミュレータの完成と拡張を行なった。 本シュミレータは現在エラスティックコンシステンシモデルを含む数多くのプロトコルの性能評価を行なっている。とくに読みだし/書き込みを非対象にサポートするADSM方式は、ソフトウェアとハードウェアが協調して最適化を実現するものとして文献[2]で発表を行なっている。
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