(1)前年度に開発した超高級言語NSLでは、一階の時間微分項を持つ偏微分方程式の陽解法をサポートしていた。NSLの適用範囲を広げるため、制御構造と反復解法のための構文拡張を行い、SOR法などの反復解法を容易に記述できるようにした。 (2)マルチブロック法における通信を効率良く処理する分散配列ライブラリを開発し、ブロックの生成、消去、添字の管理、矩形領域のデータ転送を関数として持ち、低レベルなメッセージ通信の管理を不要にした。また通信と演算のオーバラップを実現し、性能を約5%改善した。 (3)関数型言語のコンパイラの対象としてマルチスレッド型アーキテクチャを想定し、遺伝的アルゴリズムを用いたスレッド分割法を開発した。従来の方法は、スレッド数の管理とスレッドの粒度を同時に制御できなかったため生成されたスレッドが低品質であった。 (4)超並列処理用要素プロセッサとしてマルチスレッド型アーキテクチャを想定し、その動的命令発行機構として遅延オペランドフェッチ機構を開発した。 (5)マルチスレッドプロセッサにおける高速コンテキストスイッチ機構を開発し、評価した。
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